分かち合えたら
椿の花びら
季節の移ろう様子に、目を留めるようになった。
まるでそんなことには関心が無いままに、大人を長く生きてしまったというのに
今更その時間を取り戻そうとでもするかのように、自然の移ろいばかりに
目が向くようになってしまった。
これより前には、僅か数秒であっても戻ることは決して出来ないのだから、
悔やむ気持ちなどありはしない。
今この時のみと限りがあるものだからこそ、今目の前にあるものを惜しみ
追いかけるが如く、見届けようという思いに駆られるのだろう。
この景色を分かち合うことができるならと、そんな願いを抱きつつ、
シャッターを切った。
栗の落ち葉