晩秋の徒然
季節柄、落ち葉を目にする機会が多い。それを見て思う。
たった一本の木から落ちる葉のひとつひとつの中に、全く同じものなど
ひとつも無いと。全ては、似て非なるもの。
同じひとつの木から派生した葉であっても、こんなにも異なるのだから
同じ人間から生まれた訳でもなく、ただ同じ年に生まれたという共通点のみで、
同じ年齢なのだから同じようなものと、ただ一括りに捉えようとする考え方は
いかがなものだろうかと。
無数に広がる落ち葉を見て、そのそれぞれに異なる趣の違いに心奪われながら、
その一方では、そんなことを考えたりしている。
花が終われば足を止める人はおそらく格段に少なくなってゆくのだろうと
思われる桜の落ち葉に、こんなにも色とりどりの美しさがあり、
今年の実を落とす役目を終えた栗にも葡萄にも、紅葉の美しさがある。
晩秋の趣に目を留めるような、そういうことに興味を覚えるようになった
そのきっかけをくれたのは、ちいさなひとつの山、思えばそれが始まりだった。